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オスプレイはいらない

オスプレイがいると静かになる。緊張感が走る。さっきまで笑っていたのにうつむいている。笑顔が自慢のえつ子さんの表情は硬い。これ以上緊迫した空気に耐えられなくなったしげるがしゃべりだす。オスプレイに話しかけてくる。他愛のないおしゃべりである。天気のはなしや、ドラマのはなしだ。誰もそんなこと聞きたくもない。けれども沈黙に耐えるよりかまだましだ。だからしげるに感謝している。しげるもそのことを誇っている。しげるの長所はそこだ。まぎれもなくそこがしげるの長所で、それ以外はひどい。しげるの存在はその人なつっこさにある。オスプレイはしげるに話しかけられ、それに上手く応えることができない。もともとコミュニケーションが苦手なのだ。いくらしげるの的確で答えやすい質問であろうと、オスプレイには関係ない。ただ人と話すことが極度に苦手なのだ。こればかりはどうしようもない。やがてオスプレイはぼそぼそと答える。天気に関して今後の考察を並べる。やはり誰も聞きたくもない。オスプレイは天気予報士でもなんでもない。ただの郵便ポストだ。郵便ポストによる天気に関する考察などなんの役にも立たない。けれども耳を傾ける。オスプレイに敬意を示しながら耳を傾け、じっと話を聞いている。聞くことが聴衆の聴衆たる所以だよ、と言わんばかりだ。オスプレイは次第に調子に乗る。しゃべることが得意であるように思えてくる。だってこんなにもたくさんの人が耳を傾けている。つまり才能があるということじゃないだろうか。しゃべる才能、思ってもみなかった、自分にそれがあるなんて。胸を張った。今後はしゃべくりの人として胸をはろう。金を稼ごうと思った。郵便局員がオスプレイを開けにくる。オスプレイはその際にしゃべくりの人になると宣言しよう。そうすれば解放されるのではないか、と考えた。局員が見えた。溜息をはいた。なにか悪いことがあったのだろうか。オスプレイはおっくうになった。局員は乱暴にオスプレイをあけた。痛い、とオスプレイは思わず叫んだ。局員は身体をビクッと痙攣させた。
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