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かすみ草を折り畳む

空に口を向けている女が一人、私は彼女に聞く、
「どうして空に口を向けているのですか?」
女はその体勢のまま応える、
「雨を飲んでいるの」
やがて女は喉を鳴らすごくごくごくごく。

雨が止んでもう数年経ったはずだ。すでに雨が降っていた記憶もない。けれど、女は雨を飲んでいる。つまり彼女は虚空を飲んでいる。雨の記憶を飲んでいる。
「美味しいのですか?」
「美味しいわけがありますかいなあなた、雨は無味無臭です」
「そうでしょうね」
と言ったものの女があまりに美味そうに飲んでいるのでうらやましくなる。
「私も飲んでいいですか?」
「雨はみんなのものです、遠慮なく飲んでください」
それでは、と私も空に口を向けてみる。思い切り吸い込んでごくごくと喉を鳴らしたい。もちろんそう簡単に鳴るわけがない。雨は実際に降っていないのだ。必死で私は雨の記憶を追う。私の中の脳幹の隅に存在するであろう雨の記憶を手探りで追っていく。闇雲に追ったせいで、私の記憶のうちの父の部分がぐちゃぐちゃになる。
ふいに浮かんできた私の父はバニーガールである。聴衆に笑顔を振る舞うがてら、バニーガールの丸い尾はむくむくと隆起している。男性である証拠だ、と私は自分を納得させる。むしろいつまでも若々しい父を誇らしく思う。彼の尾ははち切れんばかりである。その先をつついてみる。丁寧にゆっくりとつつくと、父はわけのわからない叫び声をあげ、なにか白い液体を放つ。尾から四方八方に飛び出すその液体は地面にふりそそぎ、地中深くへしみ込んでいく。緑の生物郡が瑞々しさを取り戻す。瞬間、私は雨の記憶をつかみ取る。なんという、甘み、苦み、渋み、辛み、酸味、旨味、もう、すべてがつまっている。私は夢中で喉を鳴らす。雨の記憶を夢中で貪る。腹が膨れてくる。もう限界が近い。
苦し紛れに女を見る。隣の女は下を向いている。裏切り者、と私は思う。女はかすみ草を丁寧に折り畳んでいる。私の視線を感じたのかこちらを向き、かすかに歪んで言う、
「冬将軍がやってきます」
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