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ナイチンゲールが鳴き出したこと

それは奇跡みたいな出来事だった。あんなに鳴くことを嫌がっていたナイチンゲールが、卵がするっと牛乳瓶に入るように突然、鳴き出したのだ。ぼくは信じられない、とつぶやいてみた。するとなにか自分が今まで苦労してナイチンゲールに鳴かせたがっていたように思えておかしくなった。別にナイチンゲールが鳴こうが黙ろうがぼくには関係がない。ナイチンゲールのだみ声など、ぼくにとってただの雑音でしかない。けれど、それだけで感動して泣き出す人もいる。西さんはナイチンゲールがなくそぶりを見せただけで目を赤くしていた。西さんのナイチンゲールに注ぐ情熱は計り知れない。西さんがいるからぼくも、信じられない、なんていうつぶやきを吐いているわけだ。

ナイチンゲールがさらに鳴く。これは鳴き声か、鈴虫なんかが羽と羽をすりあわせて音を出すように、ナイチンゲールも手に持ったひょうたんをすりあわせて音を出しているだけではないのかとも思う。なぜならひょうたんを激しく動かしているし、すりあわせたら出そうな音が響いている。西さんは音の種類など関係ない。ただ眼の前にいるナイチンゲールが動いていて、音を発しているということが重要なのだ。西さんは三角座りで夕焼けを見ている。赤く赤くすぐに暗くなってしまうんだろうな、とぼくは思った。ナイチンゲールがひょうたんを捨てた。

飛び立つつもりだ。ついていこう、という目をしている西さんを尻目に、ぼくはお家の中に入る。おかあさんがクリームシチューを作って待っている。西さんも食べたらいいのにな、と思ったけれど、せっかくナイチンゲールとの大切な時間をすごしているのだから、西さんにとってクリームシチューなどどうでもいいはずだ。お家ではおかあさんが西さんの洋服を折り畳んでいる。西さんはナイチンゲールが舞い降りた時からずっと、正確には3時間前からずっと全裸だ。どういう関係があるのか知らないけれど、ナイチンゲールへの敬意だ、と服を脱いだ。

ぼくにはわからない大人の事情があるんだろう。おかあさんも何も言わない。ナイチンゲールが嘶く。同時に、西さんも嘶いて、伸び上がり、飛び立ったナイチンゲールの足につかまった全裸の西さん、夕焼けも終わり際の赤黒い空にぽつんとあって、徐々に小さくなっていくのを見ている。
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