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橋本ビル

橋本ビルへの道順をよく覚えていない。迷子になってしまった夏の日にたどり着いたのが橋本ビルだった。もう二度とたどり着けないだろう。あたしは確信をもって言い切れる。橋本ビルには人がいない。商業施設として作られたものの、昭和のいい時代が終わる頃、店舗は撤退し、人々は去っていった。橋本ビルの持ち主は都会に消え、風の噂で東京湾に沈んでいると聞いた。

あたしは橋本ビルに入ってしばらく座っていた。入ってすぐに階段があってその埃だらけのコンクリートに座っていた。迷子になってしまった自分の姿を誰にも見せたくなかった。今なら、ぺろっと舌を出して照れ笑いを浮かべながら甘えることもできる。あたしも大人になったのだ。けれど当時、あたしは尖っていた。とびきりするどく尖っていたからさあ大変、迷子になったなんて誰にも言いたくない。自分の力だけでお家に帰りたかった。どうやって帰ろうか考えるためにいったん休憩したかったのだ。橋本ビルの中はひんやりしていた。厚いコンクリートによって外の熱気を遮断しているようだった。これだけ断熱できるんなら、なにか別の目的で使えるのではないかとぼんやり思ったが、あたしにはそんな財力もやる気もないのだった。仕方ない。橋本ビルよ、あたしとともに朽ち果ててしまえ、と命じた。
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