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台風の喜多

まあ、座れや。と婆は言った。顔も見ずに無愛想なことだ、と台風は感じた。もっともこちとら無愛想には慣れている、まだいい方だ。向かう先々で罵られ、忌み嫌われることがほとんどだ。家に入れてもらったのが、奇跡なのだ。台風も台風で、ヒールに徹するつもり。どうせ歓迎されることはない。時々まだ世の中を知らない無邪気な子どもが台風をみてはしゃぎ回るが、彼らは台風を歓迎しているわけでなく、それに伴う非日常に心を踊らせているにすぎない。一部の乱暴者を除きそばの大人がため息を何度かつけばじきに大人しくなる。

婆は囲炉裏の向こうに座った。自分はここに座ればよいのか、作法など知らない。ぼんやり待っていたら婆は座れと言う。素直に従った。はぜる、囲炉裏の火は小さいが、熱い。少し上、鍋がくつくつと煮えている。これを自分に注いでくれるのか、旨そうな匂いは立ち上っている。腹は空かしてきた。台風から誘ったわけではない。婆の提案に乗っただけだ。軽率だったかもしれない。すきま風が止んだ。

婆と自らを卑下している女だけあり、卑屈が瞳に宿っている。今日はじめて目があい、台風はあらためて感じた。なにも言わず椀に汁を注ぎ、差し出してくる。受け取り一口啜る。喉が焼ける。なんという、なんという熱さだろう、燃えたぎる、身体の芯の欲望の火種に火がともされる。反応を楽しむように婆はけけけと笑う。精のつく薬がたんと入っとるよ、好色な声色が届く。全身が熱くなっている、欲望はすでにごうごうと燃え上がり、あとは、なし崩しを待つのみ。

熱い、この熱さのもとはなんだ、台風は立ち上がり婆ににじりよる。まるで熱帯、俺は熱帯になったのだ、ぼうぼうと燃え盛るまま、台風は熱帯低気圧として婆を包み込み、あれよあれよ、くるくるとほどける帯よ。
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