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夜明け、ダンサーを拾う

夜明けの町を歩いていたのはいろいろな理由があって、それはあまり触れないでほしい。
すれ違った瞬間にダンサーだとわかった。つまりダンサーはまだステップを踏んでいた。たいへん華麗で、ややこれはこれははは、と思った。別にダンサーに出会いたかったわけではないが、ダンサーを見たらそれはもうダンスははじまっている。わたしもステップを踏んだ、もちろんわたしはダンサーではないのでいびつなステップではあるが、ミュージックはすでに脳内で大音量、手足が勝手に、の状態である。踊りだしたわたしを見てダンサーは明らかに落胆した。彼、あるいは彼女は水を欲している。現在夜明けであり、ダンサーとしての使命を全うし、非常に踊り疲れている。ダンサーは命を燃やしながらそれを燃料にして踊るのである。夜明けはダンサーの命が尽きるほんの少し前。ダンサーからすればもう少し踊るための休息が必要なのだ。わたしに桃色のエナジーを注入してほしかったに違いない。エナジーを注入するどころかさらに踊りだしたものだから、ダンサーとしてはステップをやめるわけにはいかない。ダンサーとしてのプライドが許さない。ダンサーの半分はプライドでできているぐらいだから、先にステップをやめることはプライドをずたずたにされたも同然なのだ。ちなみにもう半分はシナチクでできている。ごめん、とわたしは思った。けれども止まらんのよステップが、ひとりでにステップが、わたしはミュージックに耳を澄ませた。それはダンサーの鼓動だった。ダンサーの顔色とは裏腹にミュージックは陽気で活発で太陽が燦々と降り注いでいて常夏のカクテルがからんからんと鳴っている。これがダンサーのプライドなのか、と思った。わたしは夢中でステップを踏んだ。ダンサーは初心者を誘うようにミュージックを流して、ステップを踏んだ。だんだん楽しくなってきた、いや、はじめからマックス楽しかった。ひたすら踏むステップが宙に浮かび、ダンサーの体を鞭打ちはじめた。ステップにもてあそばれるダンサーの姿は滑稽で、貴重で、もっと見たいもっともっと見たいの、と感じた。ダンサーからすればとんでもない、そろそろ休息をくれという気分だったに違いない。鞭を打たれてダンサーはだらしなく笑った。彼あるいは彼女は天性のダンサーなのだ。鞭打たれて悦ぶことを知っている。命は燃え尽きようとしていた。ミュージックがなだらかに絞られている。時々途切れるようになった。ダンサーの表情が曇った。立っているのもやっとだという状態なのに、ダンサーはまだステップを踏んでいた。ほとんどプライドだけでステップを踏んでいるらしかった。ミュージックはほとんど聞こえなくなった。大丈夫、これは俺の鼓動だ、ミュージックなど頭の中でいくらでも再生できる。ステップの鞭が強くなった。とどめを刺す気らしい。ステップのばかやろう、とわたしは無責任になじった。きっかけはわたしなのに、ステップのせいにしたら楽になれそうだった。ダンサーがダンスをやめるときそれは死ぬときだ。マグロが泳ぐのと構造は同じだ。同情をするならミュージックをくれ、と言われたのだ、同情するのはダンサーにとって、というか誰にとっても屈辱なんだね。ステップがひときわ強く鞭を打ち、ダンサーはちょうど半分でぽきんと折れた。そのままステップも止んだ。動かなくなったダンサーを拾った、コンビニの傘立てに立てかけておく。誰かが必要なときにこれを手に取るだろう。折れたダンサーは地域の共有物だ。
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