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自我が破裂して、外に飛び出たのだ。そして虎になった。なった、と言っても一瞬ではない。気を失って、目覚めたら虎だったというわけではない。私は約1日かけて徐々に虎になっていった。最初は、のどの奥、吐き気がしたので、吐いてしまおうと嘔吐いて、奥にあるものを押し上げた。奥にあるものは意外な大きさで、のどを通り抜けた、そこに詰まるかと思ったが、固いわけではなく、ゼリーのように変形するのだろう、すんなりとのどを通り抜けて、口にやってきてさあ、口から放とうと、私は意識的に下を向いた。すると、奥からあがってきたものは口にとどまっている。とどまってそのさらに上、鼻の方へと上っていく。鼻の裏をこそこそと、ゼリーかと思っていたそれは、細かい綿のように、軽く、鼻の奥をなでるのだ。今度はくしゃみが出そうになる。だったらくしゃみをしようとわざとらしくえほんと咳をした。しかしこそこそがやまない。さらにくしゃみはもう、出したくて出したくてたまらない。なのにいくら咳をしても、気持ちのよいくしゃみが出ない。そのうち後頭部が鈍く痛みだした。これは神経だな、とぼんやり思った。神経がやられているらしい。もう私はダメかもしれないと感じた。そのときぴしっと音がして、左頬のところがびりびりと破れだした。もちろん驚いたけれど、後頭部の鈍痛がだんだんひどくなってきている。左頬はもう完全に破れてしまったが、不思議と血が流れている様子ではない。なにより痛みはなにもない。というか鈍痛ががんがん、音を立てだした。痛みは薄らいでいくが、耳が破れそうな音だった。実際破れた。耳は破れて、飛び出た柔らかい骨がふるふると揺れた。怖くなって、叫んだ。もう人の声ではなかった。獣の声だった。私は手で顔を覆った。手袋を外すように、手がもげた。長い爪がそのもげたもとにあった。爪はするどく、殺傷能力が高そうだと思った。自分のものかどうか疑問だった。右手で爪を引っ張った。手がついていた。けむくじゃらで鋭い爪がついている手だった。その手が動き出した。私の顔を殴りつけた。皮膚は完全に破れて、ぬるぬるした透明の液体が漏れた。私の顔は地面に落ちた。へちゃ、という音が鳴る。顔の皮が横たわる。それを見ている私は誰なのだ。死んでいない。決して頭がもげたわけではない。皮がむけたということだ。叫ぶ。叫びたいが、それは獣の雄叫びそのものだ。私はするどい爪を地面に突き立てる。怒りが全身を覆っていた。力任せに引き裂きたい。獣としての本能が私を突き動かした。ちょうど通りかかった兎が、私の姿を見て立ちすくんだ。私は虎だった。性格に言えば半分虎の人だった。まだ、私の中には人の部分があった。腹が割れている。鍛え抜かれた肉体美を私は持っているのだ。意識を集中した。虎を人が食えばいい。つまり人の部分を増やすこと、これが今の私の使命だった。たったひとつの使命なのだ、集中しろ集中しろ集中しろ、連呼した。けれども虎の部分は意外な魅力を持っていた。なにもかんがえなうてもよい本能としての強靭さを持っていた。それに人の私は惹かれた。どうしようもなく惹かれて仕方なかった。これは獣に負けてしまうかもしれないと思った。すると肉体が震えた。自暴自棄になった私を笑った。かたかた、とまた音がなった。鱗がはがれ落ちるように、肉体は落ちた。はれはれれ、と私は焦った。どんどん虎に近づいている。人と虎の間の存在から、虎へと近づいている。この兎の命は私が握っていた。小さい命だったが、それはなんとも心地よい感覚で、私は危うく我を忘れそうになった。忘れてしまったら最後、私は我を取り戻せなかっただろう。なんとか耐えた。私の中の、詩への情熱がそれを支えた。詩は獣の心を溶かした。今もそうだ。詩を考えるとき、私は私でありえる。獣ではない、確かな私であるということを思い出せる。それも短くなってきた。だんだん、短くなってきている。危険だ。もう戻って来れないかもしれない。これを持っていってほしい.別に捨ててもらってもかまわない。私という獣がいたことを、国の父母に伝えてほしい。この詩を持ち帰ってほしい。私は獣になったが、そういうものがいたことを国に伝えてほしい。今すぐに立ち去ってほしい。さもなくば私は君を食うだろう。腹が減っている。鋭い爪も持っている。条件はそろっているのだ。今は詩の力で正気を保っている。けれども時間の問題だ。さあ立ち去れ、獣は牙をむく。
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