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チューイングガムを噛む男の子が見えない

もっと近づいて見て欲しい、と中村君は言う。けれど、いくら近づいたってかわらないものは変わらないんだから。と私は缶チューハイを飲んで笑う。不満そうな中村君は最近禁煙をはじめたそうだ、だから、なんとなく口が寂しいので、チューイングガムを噛んでいるのだそうだ。たとえベストを出したとしてもくるりの素晴らしさは変わらない、中村君は取り繕うように急に話題を変えて、私を見る。幼馴染ではないけれど、もう結構長い付き合いだし、そんな中村君の不器用さを知っている私は、微笑ましく思う。母なるおおらかさでそう思う。そりゃ素晴らしいのはわかるけど、なによいきなり。私は中村君が見えない。嫌いだからじゃない。私達は近すぎるのだ。空気みたいに。近すぎて見えない、そういうことをうまく説明できるほど私も器用ではない。中村君はワンダーフォーゲルを口ずさみながらチューイングガムを膨らます。ハローもグッバイもサンキューも言えなくなって。私は何にも言わずにそれをただ聴いている。
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