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微笑む声が僕のものじゃなくなる瞬間


(ほんのちょっち山口編5)

海を見るわけでもなく、猫は寝転ぶ優雅を身にまとって。

木陰は猫のものだから、わたしはその猫の狭い額をなでてあげて、譲ってくれるかな、ってつぶやいたら、にああ、と怒ったような鳴き声で、わたしの手を舐めた。塩辛いわたしの手を舐めた、汗が滲む手の平舐めた。
もう一度にああと鳴いて、猫は立ち上がって言った、
「ようこそ島へ、案内しようか?」
わたしは呆然としてゆっくり首を振り、何にもいえないで首を振り。
「遠慮しないで、さあ肉球を、ぎゅうと握り締めてごらん」
「何が起こるの?」
「にぎりしめてみればわかるだろう」
「怖い」
「何も怖がることなどないさ、さあ」
と近づいてくる男爵、鼻に強く漂う粒子をとらえて
「猫くさっ!」
「何を言う?」
「猫嫌いじゃ」
「ああ、神よ」

猫は絶望して海に飛び込んでララバイ。
ララバイ。

島は狭く、そのだいたい3割の土地を猫が占領していた。
占領軍はずいぶんのんびりしていた。
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コメント

[C242] Unknown

猫好きですね?

猫に対する免疫がないもので思わず逃げてしまいました。

たくさんの猫が寝転んでいました。
とてものんびりとしていてうらやましいわあ。

でも猫も猫なりにいろいろあるんでしょうね。
  • 2007-08-25 05:35
  • なゆら
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  • 編集

[C243] チェシャ猫か

これはチェシャ猫の遠縁ですね。島を案内してくれるという申し出に加えて、肉球まで握らせてもらえるなんてうらやましい。ああもったいない。
  • 2007-08-24 23:39
  • 三四郎
  • URL
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