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カレンダーボーイ・カレンダーガール

「カレンダーを僕はめくっている。1日1ページのタイプの手のひらぐらいの大きさのカレンダー。書いてある情報は数字のみ、無駄を徹底的に省いてある。それを僕はめくっている」

「いったい誰のために?」

「もちろん今がいつであるのかを正確に、あるいはあいまいにでも把握する為に」

「今がいつであるのか把握することはそんなに重要なことだろうか?」

「それは人それぞれで、あまり重要でないと考える人もいる。僕はとても重要なことだと考える」

「でも、君は今がいつであろうと同じではないか?」

「その通り。僕には関係ない。僕がカレンダーをめくるのはふたりの人間の為なんだ」

「ふたり?」

「そう、分かっているだけでふたりいる。ひとりはおそらく20代の女の子、まだ上京して間もない本当の名前は知らない、彼女のことを本当の名前で呼ばないから。その必要がないから。姫という」

「ここは東京でしたか」

「ここは東京、若者が二人で暮らしている。もうひとりが彼女よりも少し年上の男の子、彼は少し前から、二年ほどか、ここに住んでいる。ふたりは恋人同士だ」

「名前は?」

「彼の名前はニーチェ、彼女がそう呼ぶから。そしてニーチェは彼女のことを、姫と呼ぶ」

「ニーチェとその姫のために君はカレンダーをめくるわけか」

「そういうこと。それが僕の仕事で生きる全て」

「それは少し寂しいな」

「そうでもないさ、最初から何も望まなければそんなものさ、と笑い飛ばせる。結構充実だってしているぼくの毎日は」

「それがなにより」

「たとえば、姫は面積の小さな下着をつける」

「面積の?」

「とても小さな。とても実用的じゃない奴。ニーチェの為かと思うけどそうでもない、彼は忙しいんだ。姫の面積の小さな下着を鑑賞する暇があったら」

「あったら?」

「たとえば鹿の人に会いに行く方がいい」

「よくわからないが。少々変わった人だというわけか、しかし浮気相手は誰だ?」

「違う違う話が飛躍しすぎだ。姫は自分のために面積の小さな下着をつける。姫はきれいな子だ。と僕は思う。町ですれ違ったらきっと振り返ってしまうだろうな」

「君の趣味は怪しいからな、でもまあそのきれいな姫が自分のために面積の小さな下着をつける意味がよくわからないのだけれど」

「あまり深く考える必要ない。ただ、自分の体を覆っている布を出来るだけ少なくしていたいんだ、そうしないと死んじゃう」

「って言ったのか本人が?」

「言ったわけじゃない、僕がそう感じた」

「それは思い込みという奴ではないか」

「いいや違うよ、僕のそういう勘は結構当たるんだ。こないだもニーチェの好きな音楽の」

「いやいいやその話はまた次の機会でところで」

「うん?」

「君誰?」

「こちらのセリフ」
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