FC2ブログ

Entries

ゴー・トゥ・ヘルシー

 俺にまだ知らん地獄は有るのか知らん。
 と、つぶやいて欠伸をかみ殺して餓鬼をひねりつぶしてストローを噛み潰しながら飲んだのはブルーベリーヨーグルト。
 ブルーベリーのつぶつぶとヨーグルトのたるたるがのど越しうっとうしく、思わず握りつぶしたら、ねちゃねちゃと隙間からあふれ出るヨーグルトが左手から滴り落ちて、そのおこぼれを狙う餓鬼が遠慮がちに寄ってきた。面倒くさかったが俺はそれを払いのけまっすぐ上、天を睨んだ。
 天のある一点は輝いていてそこからほんの少し見える極楽から、いかにも楽しそうな祭囃子。耳から入り脳を刺激して鼻からでていくとつんつんとして山葵を齧ったときだいたいこんなふうだったかと俺は遠い記憶を探る。当然覚えているわけもなく、しかし代わりに小鳥がちゅんちゅんと鳴いて俺の頭をつついてきたという記憶がみるみるうちによみがえってきてその時の恐怖がふつふつとよみがえってきて鳥肌。皮膚がふつふつと。
 小鳥のくちばしの硬さを知っているか?
 あなたは小鳥のくちばしの硬さを本当に知っているのか?
 ならばそんなに妙な顔をしなくとも良いだろう。などと独り言をぶつぶつつぶやいたら、すっかり落ち着いていた。
 しばらく、同じ体勢で座っていたために尻が非常に痛い。
 さて、地獄にやってきてからどれぐらいがたったのだろう、俺はさらにつぶやいた。
 地獄は来る前と今とではそのイメージが180度変わってしまって、それは俺にとってちょうど良い感じだったので、特に問題はなくむしろありがとう地獄俺好きよ、と思ってしまうほどで、まあここで、一生暮らしてもいいかな、と見事馴染んでしまった自分が怖い。
 20匹ほどの百足が頭に落ちてきて頬を伝い胸元に下りてきた。別段気持ち悪いとも思わぬ、こそばゆく、癖になるぐらいだ。百足は全身に、各々の好きな場所に向ってもぞもぞ這い回る。百足と言う名のシールドを纏った俺は戦士だった。
 延々と続く地獄を受け入れた戦士だった。
 そういう存在はおそらく稀有であるに違いない。俺はそう信じている。
 通常の精神の持ち主であればとっくの昔に気が狂っているのだ。俺、選ばれしもの。
 腰を落ち着けよう、ここ俺の王国。
 子を作ろう。子とキャッチボールをするのが今の俺の夢です。
 針の山のふもとでハリセンボンをボールとして、子とキャッチボール。
 子は俺が成せなかった夢を継いで、プロ野球選手を目指すのだ。
 8番セカンドだ。小回りの利くタイプで。そうだ。
 嫁が転がってくる。
 いくらかの餓鬼を轢いて、ぐちゃぐちゃに地面汚して。機嫌がいいようだ。
 俺は生唾を飲み込んだ。
スポンサーサイト



この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://nayura06.blog27.fc2.com/tb.php/790-0a8dec7d

トラックバック

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

Appendix

プロフィール

なゆら06

Author:なゆら06
FC2ブログへようこそ!

月別アーカイブ

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR