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「体にアンパンを乗せたのではなくアンパンから体が生えてきたのです2」

連呼に継ぐ連呼で地を揺るがした。オーディエンスは熱狂した。オーディエンスと言っても無生物ばかりだったが、砂は舞い踊り、リズムを取っているようだった。
「勇気だけが僕の友達さ」
その唄は時にブルースのようだった。ただ絶叫しているだけでない、低いトーンの女が歌うブルースのように小さく口ずさみ砂はワインを傾けた。
「勇気だけが僕の友達さ」
その唄は時に演歌のようでだった。こぶしを効かせて、妖艶に唄いあげた。かなりの力量を持っているものと想像できた。紛れもなく演歌のドン、クラスである。
唄い続けるアンパンのひびはしだいにおおきくなり、中から血で真っ赤になった手足がぬるりとでてきた。ゆっくりと、しかし確実に伸びてきて、その下にある砂を掴もうと、大地にどっかりと立ち上がろうとする。
もう一度言う、時間の経過はあってないようなものである。従って、ひび割れてからの時間的変化は考慮する必要がないと考える。
アンパンからは完全に体手足が生え、人の形になった。いつからかかちかちのアンパンにやわらかさが戻り、ほんわりと柔らかな食感を感じさせた。ひとくち食べれば笑顔になるような人気アンパンであった。手足はもがいて大地に降立とうとしていた。降りて何が起こるのか、誰にも想像は出来なかった。もっとも、想像するような知性を持ち合わせた生き物はその場所には誰もいなかったのだが。
釣り下げてある縄が切れそうになっている。間もなくアンパンは大地に降りてくる。それが物語の始まりだ。そこから世界は、時間は流れだす。
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