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その4(卓球編)

高橋の縦に高速回転する得意のサーブを、正確なラケット捌きでマグロは返した。
回転はそのままにボールにあり、それがゆえにマグロの打球は脅威となり、見事1ポイントを先取した。
マグロはしかし喜びを露わに現すことなく、小さくガッツポーズを決めて、一瞬だけ唇を緩めた。それがマグロを応援するガールどもを痺れさせた。
当然である、時価にして300万はするであろう立派な黒マグロであった。
華麗なマグロの姿に痺れたガールどもはだらだらとよだれをたらした。
よだれでぬるぬるになった体育館の床の上でマグロは再びラケットを構え、即座に左右どちらにも動けるよう、集中した。
隣のコートで試合をしている若干面長の選手を見るためにやってきた女の子が「シゲ子さん、魚介類のスマッシュ、回転甘い」とほくそえんだ。
マグロだと認識されなかった自分を恥じたのだろうか。
あるいはスマッシュが弱点だとすでに気付いていてそれを克服できない鬱憤が貯まっていたのだろうか。
あるいはどこか見知らぬ土地に行ってみたくなったのだろうか。
高速で飛んできたボールを咥え込むと、きーんと走って体育館の外に飛び出して、クール宅急便トラックの助手席に飛び込んだ。東北行きのトラックだった。高橋は勝ち星を拾った。
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