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その8(マグロの一本釣り編)

「その8(マグロの一本釣り編)」

マグロが空から降ってくる。
海の男と、若干の女とが吊り上げる。近年では女も男に混じってマグロを釣り上げるようになった。これはよいことである。本来男女の違いなど単なる幻想にすぎないのだから。
したがってその男女の中にマグロは混ざっていてもなんら不思議はない。
それにしてもさすがである。マグロを見慣れたものどもだけあって、次から次へとマグロを釣り上げるマグロを見てもよだれひとつこぼさない。当のマグロは時価にして300万はするであろう立派な黒マグロであった。
誰もがみな、できれば俺のあたいの針にかかって欲しいと考えていた。
マグロはそのたくましい腕一本で、何匹ものマグロを釣り上げた。どこか得意げな表情。同時に憂いも浮かべてなんと複雑。
と、船の旗の先にとまり羽を休めていた渡り鳥が「シゲ子さん、魚介類が直立不動」とつぶやいた。
マグロだと認識されなかった自分を恥じたのかもしれない。
あるいは直立不動はやはり限界に近かったのだろうか。
あるいはマグロがマグロを釣り上げるということは、仲間を売るということに他ならないとようやく気づいたのだろうか。
せっかく釣り上げたマグロらを再び海に放ち、タバコに火をつけて遠くを見つめた。マグロが見つめる先には太陽が沈もうとしており、太陽は風景を引き連れて、マグロの足をつかんで離さないそのままぎゅっと圧縮して、やあ、世界。
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