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親指のDNA

僕は稼いだ。なりふりなどかまっていられない。とにかく金になることなら何でもした。汚い事、苦しい事、悲しい事、時にここまでしてまで金を稼ぐ必要などないのではないかという疑問に突き当たる事もあった。その度に僕は首を大きく振り、いいや必ず役に立つ。お金は大事だよー、と歌った。足元にはアヒルもいた。そうやって半年間僕は必死に金を稼ぎ、稼ぎ稼ぎまくった。結果として得られた富は、普通に暮らせば10年は遊んでいられるほどの額だった(ミャンマーに限る)。僕が半年死に物狂いで稼げばこんなもんさ、得意気に僕はサボテンに話し掛けた。サボテンという植物はけっこう敏感で、話し掛ければその言葉を理解するらしく、育ちも良くなるらしく、だから僕はサボテンにだけはちゃんと話し掛けている優しい男で、その優しい男は半年分の富を得て、ほくそえんでいる。さて僕がどうして半年間、他のことは何も考えず、というのは嘘で、各方面の欲望に打ち負けながらたまに働いて貯めた富、10年は遊んでいられるほどの額(ミャンマーに限る)を用意したかと言うと、親指のDNAを買うためである。親指のDNAさえあれば、と僕は常に考えていた。人生は変わる、思い通りだ、なにもかも。親指のDNA、僕は声に出して呼んでみた。なあに、とこたえたような気がした。気のせいでなかった、サボテンだ。祝福してくれているのかい、小粋に僕は髭を扱いた。駅前のローソンでそれは売っているという。途中で、三丁目のローソンにもあると知ったのだが、その辺は初志貫徹という僕の大好きな言葉どおり、駅前ローソンで購入する事にする。途中で、5丁目のローソンにもあると知ったのだが、駅前、神聖なる駅前ローソンで買わなければならない僕は。さらに橋向こうのローソンでも、地下街のローソンでも、売っていると知った。まさか、まさか、どのローソンでも売っているのではないのか、いや、そんなはずはない。そうだそんなわけがない。疑問を持ちそれでも、葛藤と戦いながら駅前に着き、親指のDNAを購入する。自宅に戻り、親指のDNAをセロテープで貼り付けた親指を立てる。さあ、僕を自由へ導いてくれ「チッチキチー!」
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